Splinter Cell: Chaos Theory

corlagon2005-09-23

半年前に買って積んでおいたのだが、ついに昨日クリア。いや〜長かった。総プレイ時間は15時間といったところか。ステージが×10だから、単純に考えるとステージあたり1時間以上かかっていることになる。こりゃ睡眠時間が削られるわけだ。
さて、もうSCも三作目なので今さら何もコメントするべきことがあるわけではない。グラフィック良し、操作性良し、マルチ良し、AI良し。自由度もある。良作の条件を兼ね備えているといえよう。
しかし、これも例によってなのだがシナリオはイマイチだ。GAME WATCHのレビューでも言われてることだが日本の描写は何とかならないのかなあコレ。温泉というか銭湯というかサウナみたいな「浴室の家」という場所でお偉いさんがミーティングというか密談をやってるのだが、人民服みたいなのを来た怪しい老人が歩き回ってたりしてなかなかオリエンタリズムでいい感じ。夜のネオンは「新鮮な野菜」「食糧(逆さま)」など突っ込みどころ満載で、地下室ではシーツみたいな布を扇風機で乾かしている。いや〜。
さらに踏み込めば、べつにレビューサイトじゃないので激しくネタバレすると、今回のラスボスは国防総省の情報自衛隊の大友提督という人だった。なんでも日本は現行憲法を廃棄して即座に再軍備化するんだということで、ラストステージでは国防総省内に国防長官やらを集めて一大演説。
密室でたたずむ国防長官。スクリーンに大友提督が登場。
大友「天皇陛下が日本軍を統帥する!」
長官「いや、陛下がそんなことをなさるはずがない!」
大友「黙れ!天皇陛下は軍の言う通りになさるのだ」
通信が切れる。
長官「ああ……何とかして陛下に連絡をお取りしなければ……」

ヲイヲイ。やっぱり日本ってアジアの君主国崩れぐらいの印象なのかなあ。正直な話、自衛隊がクーデタを起こすシナリオなんて「もし1980年代に社共連立政権ができてたら」ぐらいのタラレバ話かと思っていたのだが、やはり世界の皆さんの注目はアジアに向いていますな。ミアシャイマーの言う通り、北東アジアの軍事バランスは2020年までもたないのだろうか。
そのへんの話は置いておくとして少し中身の話をすると、今回はサム・フィッシャーのアクションがますます多様化していて、よくこんなに色んなものを詰め込んだなと感心させられる部分も多かった。ただ、あまり実用性のない追加要素なんかも結構ある。たとえば、今回からはナイフを使えるようになったのだが、実際に敵と戦闘になる局面では張り手を使って気絶させようがナイフを使って刺そうが、当たり判定もスピードも大差がない。結局プライマリー攻撃かサブ攻撃かの区別があるだけで、別に血が出たり出なかったりするわけでもなく、プレイヤーの側からはあまり変わらない。実際、私など最初の方はサブ攻撃のボタン設定を間違えていて、片っ端から敵に掴みかかっては刺し殺すという非効率極まりない方法を取っていたのに、べつにゲームに支障なかったしな。このあたり、Gamespotのレビューは妥当な線を突いていると思う。また、使える手段の幅が広がったとはいっても、ステルスというSCの趣旨を貫徹しようとするなら結局「暗闇の中を暗視ゴーグルでしゃがみ移動しながら敵の脇をすり抜ける」という基本は変わらないわけで、手榴弾とかAirfoilとかSticky Shockerを一度も使うことなく大友提督のクーデタは未然に防止されて、何のためにSC20を持ってきたのだろうかと自問自答するフィッシャーの姿が目に浮かぶ。
この点に関して、ピストルのサブのOCPで電気を一時的に消せるようになったのと、EEVで電子機器を遠隔操作できるようになったのはゲーム性を大きく変えた。これで、電球を撃ったり突っ立ったままパソコンを操作したりという明らかに非ステルス的なアクションをする必要がなくなって、ほんとにスパイ映画っぽくなった。もちろん、そのおかげでゲームの難易度が大きく下がったという面はあるのだが、それに関してはモードを変えれば済む話なのでさほどの欠点ではない。
個人的な感想をいえば、このSC:CTでステルス系アクションは完成されてしまったような気がする。Gamespotが若干辛い点を付けているのを除けば、大手のレビューサイトは絶賛の嵐であり、もはや欠点を探す方が難しい。Thief: The Dark Projectあたりで始まった流れが一つの到達点に来たのかなあ。ステルスで次に大きなブレイクスルーになるコンセプトがあるとしても、シングルではなくマルチの方面になるのではないかと思う。